ブロックチェーンドメインとは?仕組み・種類・登録方法と通常のドメインとの違い【2026年版】
ブロックチェーンドメインの基本から、主なサービス、登録・利用の流れ、注意点、そして2026年時点の最新動向までを整理して解説
目次
「john.eth」「alice.crypto」のように、ブロックチェーン上で管理される名前を、ブロックチェーンドメイン(Web3ドメイン、クリプトドメインとも呼ばれます)といいます。暗号資産のウォレットアドレスを覚えやすい名前に置き換えられることから注目されてきましたが、通常の「.com」や「.jp」とは仕組みがまったく別物で、できること・できないことにも大きな違いがあります。
さらに2026年は、この分野の代表的な事業者が方針を大きく変えた年でもあります。今回は、ブロックチェーンドメインの基本から、主なサービス、登録・利用の流れ、注意点、そして2026年時点の最新動向までを整理して解説します。
この記事のポイント
- ブロックチェーンドメインは、DNSではなくブロックチェーン上に所有権が記録される名前
- 主な用途は、長いウォレットアドレスの代わりに使う「送金先の名前」
- 通常のブラウザではそのままでは開けないことが多く、メールにも基本的に使えない
- 「買い切りで更新不要」はサービスによって異なる(ENSの.ethは毎年更新が必要)
- 2026年、Unstoppable Domainsが主要9拡張子のICANN申請を見送り、「通常のインターネットで使えるようになる」という期待は大きく後退した
- Webサイト運営には、これまで通り通常のドメインが必須
ブロックチェーンドメインとは
ブロックチェーンドメインとは、イーサリアムやソラナなどのブロックチェーン上に「名前と持ち主の対応関係」を記録する仕組みです。メールアドレスのように、長くて複雑な文字列(ウォレットアドレス)の代わりに、覚えやすい名前で送金先を指定できます。
たとえば、イーサリアムのウォレットアドレスは「0x」で始まる42文字もの英数字です。1文字でも間違えれば、送った暗号資産は戻ってきません。これを「john.eth」のような名前に置き換えられれば、入力ミスの不安は大きく減ります。
多くのブロックチェーンドメインは、所有権が**NFT(非代替性トークン)**として発行されます。そのため、持ち主はウォレットで名前を管理し、売買や譲渡もブロックチェーン上で行えます。
通常のドメインとの違い
通常のドメインは、ICANN(インターネットの名前や番号を管理する非営利団体)を頂点とするDNSという仕組みで管理されています。ブラウザにURLを入力すると、DNSが対応するIPアドレスを調べ、Webサーバーにつないでくれます。DNSの基本については、当サイトのAレコードなどのDNS解説記事も参考にしてください。
一方、ブロックチェーンドメインはDNSとは別の名前解決の仕組みで動いています。どちらも「名前を何かに対応づける」点は同じですが、管理する場所も、ルールも、使える範囲も異なります。
| 項目 | 通常のドメイン(.com など) | ブロックチェーンドメイン(.eth など) |
|---|---|---|
| 管理の仕組み | DNS(ICANNと各レジストリ) | ブロックチェーン |
| 所有の形 | 一定期間の登録(借りている状態) | ウォレットが保有するNFT |
| 更新 | 毎年など定期的に必要 | サービスによる(買い切り型と年額型がある) |
| 主な用途 | Webサイト、メール | ウォレットの送金先、Web3アプリのID |
| 一般のブラウザで開く | 可能 | 多くの場合そのままでは不可 |
| 紛争解決 | UDRPなどの制度がある | 利用できる制度が限られる |
| 取得できる場所 | 各レジストラ | 各サービスの専用サイトやウォレット |
ブロックチェーンドメインの仕組み
ブロックチェーンドメインの動き方は、次のようになります。
- ユーザーが名前を購入すると、その名前の所有者(ウォレットアドレス)がブロックチェーンに記録される
- 持ち主は、名前に「ウォレットアドレス」「Webサイトの内容」「SNSアカウント」などの情報をひも付ける
- 送金する側が名前を入力すると、対応するウォレットのアドレスが読み取られる
記録はブロックチェーン上に分散して保存されるため、特定の会社のサーバーが止まっても記録そのものは残ります。また、所有者だけが設定を変更でき、レジストラや第三者が勝手に停止することが難しい点が大きな特徴です。
Webサイトの公開(IPFS)
ブロックチェーンドメインには、**IPFS(InterPlanetary File System)**という分散型のファイル保管の仕組みを使って、Webサイトを公開できるものもあります。特定のサーバーに置かれたサイトではないため、削除や遮断が難しいと説明されることもあります。
ただし、実際に閲覧するには、対応するブラウザや拡張機能、ゲートウェイ(橋渡しをするサービス)が必要です。Operaなど一部のブラウザは対応していますが、ChromeやFirefoxでは拡張機能を入れる必要があるのが一般的です。通常の検索エンジンもこれらのサイトをほとんど拾いません。
主なブロックチェーンドメインの種類
ENS(Ethereum Name Service):.eth
イーサリアム上の名前サービスで、ブロックチェーンドメインとしては最も知られた存在の一つです。「.eth」を使い、ウォレットの送金先名として広く対応しています。
- 料金は名前の長さで決まり、公式ヘルプでは5文字以上が年5ドル、4文字が年160ドル、3文字が年640ドルとされています(1〜2文字は登録不可)
- 登録も更新も同じ料金体系で、支払いはイーサリアム(ETH)で行い、別途ガス代(取引手数料)がかかります
- 期限が切れても90日の猶予期間があり、その間は更新できます
- 2026年のENSv2への移行に合わせて、5文字以上を年8ドルへ引き上げ、複数年登録の割引を導入する提案も出ています
つまり、「ブロックチェーンドメインは買い切りで更新不要」というよくある説明は、ENSの.ethには当てはまりません。
Unstoppable Domains:.crypto、.nft、.wallet など
「.crypto」「.nft」「.wallet」「.bitcoin」「.x」「.dao」「.blockchain」などの拡張子を扱う代表的な事業者です。もともとは一度購入すれば更新料がかからない買い切り型が特徴で、これまでに400万以上のWeb3ドメインを販売したと報じられています。
ただし後述するように、2026年にはこの事業者の方針が大きく変わっています。
SNS(Solana Name Service):.sol
ソラナのブロックチェーン上で動く名前サービスで、「alice.sol」のような名前をウォレットアドレスの代わりに使えます。ソラナ系のウォレットやアプリで広く対応しており、ソラナを使う人にとってのENSのような位置づけです。価格は名前の長さなどによって変わります。
その他
- Handshake(HNS):一部のレジストラが扱う、DNSとは別のルートを使う仕組み
- Yat:絵文字を使った名前のサービス(現在の提供状況は、利用前に必ず公式情報で確認してください)
- Freenameなど:利用者が独自の拡張子を作れるサービスもあります
ブロックチェーンドメインの主な用途
1. ウォレットアドレスの代わり
最も実用的な使い方です。長いアドレスをコピー&ペーストする代わりに、名前を入力して送金できます。入力ミスのリスクを減らせるほか、ビットコインやイーサリアムなど複数のアドレスを1つの名前にまとめられるサービスもあります。
2. Web3サービスでのID・ログイン
名前をプロフィールとして、SNSアカウントやアバター、NFTなどをひも付けて使えます。分散型アプリ(dApps)のログインに使える場合もあります。
3. 分散型Webサイトの公開
IPFSなどを使って、特定のサーバーに依存しないサイトを公開できます。ただし閲覧できる環境が限られるため、一般向けの集客には向きません。
4. 売買・投資の対象
NFTとして発行されるため、専用のマーケットで売買できます。ただし、価値が将来も保たれる保証はなく、後述のとおり市場環境や事業者の方針で大きく変わるおそれがあります。
5. ブランドの防衛
「自社名の名前を第三者に取られたくない」という目的で、企業が先に取得する例もあります。サイバースクワッティング(他人のブランド名を先に取得して利益を得る行為)はブロックチェーンドメインでも起きており、ブランド名を先に押さえる動きにつながっています。
ブロックチェーンドメインのメリット
- 所有権をウォレットで直接管理できる:レジストラのアカウントではなく、自分のウォレットで管理する
- 送金先がわかりやすい:長いアドレスを使わなくて済み、入力ミスを減らせる
- 特定の事業者に停止されにくい:検閲に強いと説明されることがある
- 自由度の高い使い方:ID、アプリ連携、売買など、通常のドメインにない使い方ができる
ブロックチェーンドメインのデメリットと注意点
1. 通常のブラウザでは基本的に開けない
「john.eth」をChromeのアドレスバーに入力しても、そのままでは開けません。DNSにこれらの拡張子が登録されていないためです。ICANN自身も、DNSと互換性のない名前を「ドメイン名」として販売することについて、通常のドメインとは動作が異なると注意喚起してきました。
2. メールアドレスには基本的に使えない
メールの送受信はDNSのMXレコードなどに依存します。ブロックチェーンドメインはDNSの外にあるため、通常のメールアドレスとしては使えません。
3. 費用は「購入代金」だけではない
ガス代がかかり、ENSのようにETHで支払うサービスでは、暗号資産の価格変動の影響も受けます。年額型のサービスでは、更新を忘れると名前を失います。
4. 詐欺やなりすましのリスク
ブロックチェーンドメインでは、次のような手口が知られています。
- ホモグリフ攻撃:見た目がそっくりな別の文字(キリル文字や、目に見えない文字)を使った偽の名前
- アドレス偽装:自分のウォレットアドレスに「.eth」を付けた名前を取得し、別のウォレットに誘導する
- 偽のサポート・偽の更新通知:メールやDMのリンクから、ウォレットの接続や署名をさせる
対策は、リカバリーフレーズ(秘密のフレーズ)を絶対に入力・共有しない、更新や移行の案内はメッセージ内のリンクからではなく公式サイトを自分で開いて確認する、高額の送金前に少額でテスト送金する、の3点が基本です。
5. ブランドの保護が難しい
通常のドメインには、不正登録を取り戻すためのUDRPのような紛争解決制度があります。しかしブロックチェーンドメインは、ICANNの管轄外にあるため、同じ制度では対応できません。偽物の名前を取得されても、取り戻す手段が限られます。
6. 事業者の方針転換リスク
次の章で説明するとおり、名前を販売する事業者が方針を変えれば、「いつか通常のドメインのように使えるはず」という前提が崩れる場合があります。
2026年の最新動向
Unstoppable Domainsが主要9拡張子のICANN申請を見送り
Unstoppable Domainsは長年、「.crypto」や「.wallet」などを、将来ICANNの新しいTLD(トップレベルドメイン)の仕組みに乗せ、通常のブラウザでも使えるようにすると説明してきました。
しかし2026年8月、同社は2026年のICANN新gTLD募集ラウンドで、次の9つの拡張子の申請を行わないと発表しました。
- .crypto、.wallet、.polygon、.nft、.bitcoin、.dao、.unstoppable、.zil、.blockchain
理由として、申請や審査、競合時のオークションなどの費用が見合わないことや、ICANN側の統合ルール案が厳しいことが挙げられています。報道によれば、ICANNの検討では、統合する名前をすべてDNS上に登録して費用を支払い、登録者の情報も開示する枠組みが示されていたとされます。
同社は影響を受ける購入者に対し、返金を受け付けると案内しました。報道によると、対象は.blockchainが2024年6月5日以降、それ以外が2025年3月5日以降の購入分で、返金申請の締め切りは2026年9月25日でした。この締め切りは、この記事の執筆時点(2026年10月)ではすでに過ぎていることにご注意ください。
なお、すでに発行された名前のオンチェーン上の機能(ウォレットアドレスの置き換えなど)は、そのまま使えるとされています。つまり、名前が使えなくなるわけではなく、「通常のインターネットでも開ける」という将来像が消えたということです。
さらに同社は2026年3月、売上の90%以上が通常のDNSドメインになったとの趣旨の発信をしており、事業の重心がブロックチェーンドメインから通常のドメインへ移っていることがうかがえます。
ENSは.ensの取得を目指す動き
ENSは、「.eth」のままではICANNのDNSに載せられないという課題を抱えています。「.eth」はISO 3166(国コード)の関係でエチオピア向けとして扱われ、新規のTLDとして取得できないとされるためです。
こうした背景から、ENSのコミュニティは別の文字列として「.ens」を目指す方向に動いていると報じられています。ただし、実際に採択されるかどうかは今後の審査次第で、ICANNのTLDが実際に使えるようになるまでには時間がかかります。Unstoppable Domainsの発表では、新しいTLDの最初の承認は2027年半ば、本格運用は2027年後半から2028年とされています。
ENSv2への移行
ENSは「ENSv2」と呼ばれる新バージョンを準備しています。当初は独自のレイヤー2(Namechain)を使う計画でしたが、2026年2月にその開発を中止し、イーサリアムのメインネット上で展開する方針に変更されました。価格や猶予期間の見直しも、このバージョンアップに合わせて検討されています。
ブロックチェーンドメインの取得・利用方法
ここでは、代表的なENS(.eth)を例に、一般的な流れを紹介します。
事前に必要なもの
- イーサリアム対応のウォレット(MetaMaskなど)
- 登録料とガス代を支払うためのETH(イーサリアムのメインネット上のETHが必要)
手順
- 公式サイト(ens.domains)にアクセスし、ウォレットを接続する
- 取得したい名前を検索し、空いているか確認する
- 登録する期間(年数)を選ぶ
- 登録の1回目の取引を送信する(第三者による先回りを防ぐ仕組みで、少し待ち時間があります)
- 待機後、2回目の取引を送信して登録を完了する
- ウォレットのアドレスを名前に設定し、必要に応じて「プライマリーネーム(主に使う名前)」を設定する
登録が終われば、他の人がウォレットアプリでその名前を入力するだけで、あなたのウォレットに送金できるようになります。
偽サイトに注意:ENS公式サイトの正しいドメインは「ens.domains」です。検索広告やSNSのリンクから開かず、ブックマークから開くようにしましょう。
Blockchain.comで.blockchainを取得する場合
Blockchain.comのウォレットでは、モバイルアプリから「.blockchain」ドメインを取得できる機能が案内されていました。手順の概要は次のとおりです(公式ヘルプの記載に基づきます)。
- モバイルアプリでウォレットにログインする
- 左上のプロフィールアイコンから「設定」を開く
- 「ドメイン」を選び、「Let’s Go」をタップする
- 取得したいドメインを検索して選択する
- 免責事項に同意して「Claim」をタップする
受け取りは、ウォレットの「受け取り」画面でドメイン名を相手に共有します。送る側は、送金画面の宛先欄にドメイン名を入力するだけです。Blockchain.comは、Unstoppable DomainsとENS、Yatのドメインへの送金に対応していると案内しています。
ただし、前述のとおり.blockchainを含む拡張子をめぐる状況は2026年に大きく変わっています。利用前に、Blockchain.comとUnstoppable Domainsの最新の案内を必ず確認してください。
ブロックチェーンドメインに送金するときのコツ
- 送金先の名前のスペルを、相手に別の経路(電話や対面)で確認する
- 初めての相手には、少額でテスト送金してから本送金する
- 名前の中に見慣れない文字や記号がないか確認する
- ウォレットの自動補完を過信しない
ブロックチェーンドメインはWebサイト運営に使えるか
結論から言うと、一般向けのWebサイトやメールを運営する用途には向きません。理由は次のとおりです。
- 大半のブラウザで、そのままでは開けない
- 通常の検索エンジンの対象にならない
- メールアドレスに使えない
- 利用者に拡張機能などの追加の手間をかけさせる
ウェブサイトやメール、SEOを重視するなら、「.com」「.jp」「.net」などの通常のドメインを使うのが現実的です。ブロックチェーンドメインを持つ場合も、「暗号資産の受け取り用の名前」として、通常のドメインと併用するのが一般的です。
通常のドメインかどうかを確認するには
「.eth」のようなブロックチェーンドメインは、DNSに登録されていないため、通常のDNS検索では見つかりません。一方、通常のドメインであれば、ネームサーバーやAレコード、MXレコードなどを確認できます。
当サイトの ドメシラ では、ドメインのDNS設定を実際にスキャンして確認できます。「そのドメインがDNS上で正しく動いているか」を調べたいときにご利用ください。
よくある質問
ブロックチェーンドメインは更新しなくていいの?
サービスによります。Unstoppable Domainsのような買い切り型のものもありますが、ENSの.ethは毎年の更新が必要です。取得前に、そのサービスの料金体系を必ず確認しましょう。
ブロックチェーンドメインは一度買えば永久に自分のもの?
ブロックチェーン上の記録としては、持ち主が手放さない限り残りますが、その名前を受け付けるウォレットやアプリ、ブラウザが対応を続けるかは別問題です。事業者の方針転換などで使い勝手が変わる可能性があります。
日本の暗号資産取引所でも使える?
対応状況は取引所やウォレットによって異なります。名前を入力して送金できるかどうかは、使っているサービスの対応状況を事前に確認してください。
投資や転売の対象として有望?
価値の保証はありません。人気の名前が高値で取引される一方、多くの名前は需要が乏しく、売れないこともあります。今回のように事業者の方針転換で状況が一変する例もあるため、投資の判断はご自身の責任で慎重に行ってください。
まとめ
ブロックチェーンドメインは、DNSとは別の仕組みで動く、ウォレットの送金先を分かりやすくするための名前です。暗号資産をよく使う人にとっては便利な面がある一方で、次の点を押さえておく必要があります。
- 通常のブラウザやメールでは基本的に使えない
- 「買い切り」か「年額更新」かはサービスによって異なる
- 2026年にUnstoppable Domainsが主要拡張子のICANN申請を見送り、「通常のインターネットにつながる」という期待は後退した
- 偽の名前や詐欺のリスクがあるため、送金前の確認が欠かせない
- Webサイトやメールには、これまで通り通常のドメインを使う
暗号資産の送金用として試す場合も、まずは費用とリスクを理解し、少額から始めるのがおすすめです。