他人が持っているドメインを購入する方法|所有者の調べ方から、交渉・支払い・移管まで
他人が持っているドメインを購入する方法を、所有者の調べ方、連絡の仕方、交渉、支払い、移管、購入後の設定まで、順を追って解説
目次
- まず確認:本当に、そのドメインが必要か
- 他人のドメインを買う3つの方法
- 国内外の主な売買の場
- 購入の全体の流れ
- ステップ1:購入前の準備
- 予算を決める
- 商標を確認する
- 過去の履歴を確認する
- 代わりの候補を用意する
- ステップ2:現在の所有者を調べる
- WHOISで調べる
- WHOISが非公開の場合
- ドメインの使われ方を確認する
- ステップ3:意思決定できる人に連絡する
- 最初の連絡の例文
- ステップ4:価格を交渉する
- 最初に価格を言わないほうが、有利になりやすい
- 交渉のコツ
- ステップ5:支払いと、ドメインの移転
- 必ず、第三者(エスクロー)を通す
- ドメインの移転方法
- 購入にかかる費用の目安
- 危険なサインと、手を引くべきとき
- 所有者であることを確認する方法
- 売ってもらえない場合は
- 買えない場合の代替案
- 購入後にやること
- よくある質問
- 買いたいドメインの所有者が、見つからない場合は?
- ドメインブローカーは、使うべきですか?
- 交渉は、メールだけで進められますか?
- 個人でも、買えますか?
- 買ったあとに、トラブルが起きたらどうなりますか?
- まとめ
ドメイン取得サービスで、希望のドメインを検索したら、「取得できません」と表示された。ブランド名や、サービス名にぴったりの名前だったのに、すでに誰かに登録されている。そんな経験は、多くの方があるのではないでしょうか。

しかし、あきらめるのは、まだ早いかもしれません。すでに登録されているドメインでも、所有者が売ってくれれば、購入できる場合があります。実際に、ドメインの売買は、世界中で日常的に行われており、専用のマーケットや、仲介サービスも存在します。
ただし、通常のドメイン取得と違って、時間もかかり、価格も一定ではなく、取引のリスクにも注意が必要です。この記事では、他人が持っているドメインを購入する方法を、所有者の調べ方、連絡の仕方、交渉、支払い、移管、購入後の設定まで、順を追って解説します。
まず確認:本当に、そのドメインが必要か
購入に進む前に、次の点を確認しておきましょう。
- そのドメインは、今、使われているか:サイトが運営されていたり、メールが使われていたりする場合、所有者が手放す可能性は低く、価格も高くなりやすい
- 期限切れが近くないか:更新されずに失効すれば、通常価格で取得できる可能性がある。国内では、失効後に取得できる状態になった時点で、自動的に取得を試みる「バックオーダー」のサービスもある
- 別のTLDや、少し変えた名前で代用できないか:「.com」がだめでも、「.jp」や、新しいTLD、キーワードの組み合わせで、十分な場合もある(詳しくは、「ドメイン名の決め方」の記事を参照)
それでも、「この名前でなければならない」という場合に、購入を検討することになります。
他人のドメインを買う3つの方法
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 売りに出されているドメインを買う(マーケット・オークション) | すでに売る意思があり、価格も明示されていることが多い。取引の仕組みが整っている | 出品されている数が限られ、人気のドメインは高額になりがち |
| 所有者に、直接交渉する | 安く買える可能性がある。条件を柔軟に決められる。仲介手数料がかからない | 時間がかかり、返事が来ないこともある。交渉の手間と、リスク管理が必要 |
| ドメインブローカー(代理人)に依頼する | 交渉のプロに任せられ、成功率が上がりやすい。自分の身元を伏せて進められる | 手数料がかかる(購入額の10〜20%程度が目安)。進め方を、自分で細かく決めにくい |
国内外の主な売買の場
- 国内:お名前.comの「ドメイン売買サービス」などがあります。お名前.comの会員どうしで、ドメインを売買できるマーケットで、価格交渉や、オークション形式での購入が可能です。出品者の情報は開示されず、売買の契約や、取り消し、保証などは、当事者の責任とされているため、利用規約は事前に確認してください。
- 海外:GoDaddy Auctions、Sedo、Afternic、Dynadotのマーケットなど、複数のプラットフォームがあります。ドメインブローカーの仲介サービスを提供している会社もあります。
購入の全体の流れ
おおまかな流れは、次のとおりです。
- 準備をする:予算、商標、過去の履歴、時間の余裕を確認する
- 所有者を調べる:WHOISなどで、現在の所有者や、連絡先を探す
- 連絡して、交渉する:意思決定できる人に連絡し、売買の意思や条件を確認する
- 支払いと、ドメインの移転を行う:エスクローなど、第三者を通して、安全に進める
- 購入後の設定を行う:DNSやメールなどを設定し、運用を始める
目安として、最初の連絡から、移転の完了まで、1〜2か月ほどかかります。相手の返事が遅い場合や、交渉が長引く場合は、さらに時間がかかることもあります。
ステップ1:購入前の準備
予算を決める
「どうしても欲しいから、いくらでも」と考えず、最低額と、上限額を、あらかじめ決めておきましょう。相場を知るには、次のような方法があります。
- ドメインの査定ツールで、おおよその価値を調べる
- 同じような名前・長さ・TLDのドメインが、過去にいくらで売買されたかを調べる
- 売りに出されている、類似のドメインの価格を、確認する
ドメインの価格は、一律ではありません。数万円から、数十万円で取引されるものがある一方、短く、一般的な単語のドメインは、数百万円以上になることもあります。あくまで目安ですが、事前に「この名前に、いくらまで出せるか」を、事業の規模と照らして、判断してください。
商標を確認する
買ったあとで、商標の問題で使えなくなるのが、最も避けたいリスクです。交渉に入る前に、J-PlatPatなどで、商標を確認しましょう。交渉の途中で、商標のトラブルが起きそうだとわかった場合は、お金を払う前に、手を引くのが賢明です。
過去の履歴を確認する
インターネットアーカイブ(Wayback Machine)などで、過去にどんなサイトだったか、スパムなどに使われていなかったかを、調べておきます。詳しくは、「プレミアムドメインとは?」の記事でも解説しています。
代わりの候補を用意する
交渉が、うまくいかない場合に備えて、代わりの候補を、いくつか用意しておきましょう。候補が複数あると、相手の言い値に流されず、冷静に判断できます。
ステップ2:現在の所有者を調べる
WHOISで調べる
ドメインの所有者は、「WHOIS(フーイズ)」という仕組みで、調べられます。電話帳のように、登録者の名前や、連絡先などが、載っている場合があります。当サイトのような、ドメインチェッカーなどのツールでも、登録情報を確認できます。
なお、WHOISでは、過去の所有者の履歴も、あわせて調べておくと、参考になります。所有者が頻繁に変わっているドメインは、転売目的で保有されている可能性があります。
WHOISが非公開の場合
近年は、個人情報を保護するため、多くのドメインで、登録者の名前や住所が非公開になっています。特に、欧州の個人情報保護規則(GDPR)の影響で、ほとんどの情報が伏せられているケースも、多いです。
ただし、非公開でも、あきらめる必要はありません。
- WHOISに、プライバシー保護用の、転送メールアドレスが表示されている場合、そこにメールを送ると、実際の所有者に、転送されることが多い
- 一部のレジストラでは、所有者に連絡するための、問い合わせフォームが用意されている
- ドメインでサイトが運営されているなら、サイトの問い合わせ先や、運営者情報から、連絡できる
ドメインの使われ方を確認する
所有者を探す手がかりとして、ドメインが今、どう使われているかも、調べてみましょう。
- サイトが公開されているか(企業のサイトか、個人のサイトか、放置されているか)
- 売りに出されている旨のページ(「このドメインは売り出し中」など)になっていないか
- ドメインが、投資家の保有する、駐車ページ(広告だけのページ)になっていないか
- MXレコードが設定され、メールに使われていないか(詳しくは、「MXレコードとは?」の記事を参照)
使われ方がわかれば、所有者の種類(企業、個人、投資家)が推測でき、交渉の進め方も考えやすくなります。
ステップ3:意思決定できる人に連絡する
連絡先がわかったら、売却について決められる人に、連絡が届くかが重要です。
たとえば、中規模以上の企業が所有している場合、サイトの管理担当者や、一般の問い合わせ窓口に送っても、無視される可能性が高いです。代表者や、経営者、ドメインの投資を行っている担当者など、決定権を持つ人に、たどり着くよう、調べてみましょう。
最初の連絡の例文
最初のメールは、丁寧で、簡潔なものにします。予算や、使用目的を、細かく伝える必要はありません。
件名:ドメイン「example.com」についてのお問い合わせ
○○様
突然のご連絡失礼いたします。△△と申します。
貴殿がご登録されている「example.com」について、
ご売却のご意思があるかどうか、お伺いしたくご連絡いたしました。
もしご売却をご検討いただける場合は、
ご希望の条件などをお聞かせいただけますと幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、ご返信をお待ちしております。
△△(氏名/会社名)
連絡先
自分の身元を、最初は伏せたい場合や、交渉に不安がある場合は、ドメインブローカーに、代理で連絡してもらう方法もあります。
ステップ4:価格を交渉する
最初に価格を言わないほうが、有利になりやすい
ドメインの交渉では、「先に価格を提示したほうが、不利になりやすい」という考え方が、よく知られています。まずは、「売る意思があるか」「いくらなら手放すか」を、相手に尋ねるところから、始めましょう。
ただし、これは絶対のルールではありません。相手が「あなたの提示額を教えてほしい」と返してきた場合は、下限に近い、現実的な金額を、根拠とともに提示するのが自然です。
交渉のコツ
- 事前に決めた上限額を超えない
- 相場の根拠(類似ドメインの売買事例など)を持って、話す
- 攻撃的な言葉や、極端な値切りは避け、丁寧なやりとりを、心がける
- 焦っている様子を見せない(急いでいるとわかると、価格が上がりやすい)
- 断られても、状況は変わり得るため、時間をおいて、再度連絡してみる
ステップ5:支払いと、ドメインの移転
必ず、第三者(エスクロー)を通す
金額が合意できたら、支払いと、ドメインの引き渡しに入ります。ここで最も大切なのは、個人間で直接お金をやり取りせず、第三者を通すことです。
「エスクロー」とは、売り手と買い手の間に、中立な第三者が入り、代金を一時的に預かる仕組みです。Escrow.comなどが、代表的なサービスです。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 合意 | 売買価格と、条件を確定させる |
| 2. 入金 | 買い手が、エスクローに代金を支払う |
| 3. 移転 | 売り手が、ドメインを、買い手に移転する |
| 4. 確認 | 買い手が、ドメインを受け取ったことを、確認する |
| 5. 支払い | エスクローが、売り手に代金を支払う |
これにより、「お金を払ったのに、ドメインが届かない」「ドメインを渡したのに、お金が支払われない」といった、リスクを避けられます。エスクローの利用を、拒否する売り手には、注意が必要です。また、エスクローを装った偽サイトもあるため、公式サイトのURLを、自分で確認してから、利用しましょう。
ドメインの移転方法
移転には、主に2つの方法があります。
- 同じレジストラ内での、アカウント間の移動:売り手と買い手が、同じサービスを使っている場合に、ドメインの所有者を変更する方法
- レジストラ間の移管:別のドメイン取得サービスに、ドメインの管理を移す方法。売り手が「認証コード(Auth Code)」を発行し、買い手が、移管先のサービスで、そのコードを使って、手続きをする
移管には、登録直後や、移管直後の制限期間などが、設けられている場合があります。また、移管の際には、通常、有効期限が1年延長され、その分の費用がかかります。移管先を選ぶときは、「安いドメインはどこで取る?」の記事も、参考にしてください。
購入にかかる費用の目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| ドメイン本体の購入価格 | 数万円〜数百万円以上(ドメインの価値による) |
| ブローカーの手数料 | 購入額の10〜20%程度。最低手数料が、設定されていることもある |
| エスクローの手数料 | サービスや、取引額によって異なる。買い手・売り手のどちらが負担するか、事前に合意しておく |
| 移管・更新の費用 | 移管先のレジストラの料金(通常、1年分の更新を含む) |
| 為替・送金手数料 | 海外の取引では、ドル建てが多く、為替や、送金の手数料がかかる |
金額は、ドメインや、サービスによって、大きく変わります。表の数値は、あくまで目安として、実際の見積もりを確認してください。
危険なサインと、手を引くべきとき
次のような場合は、取引を、見直すか、中止することを、検討しましょう。
- 所有者であることを、確認できない:売り手が、本当にそのドメインの管理者か、確認できない
- エスクローの利用を、拒否する:第三者を挟むことに、強く抵抗する
- 価格が、相場を大きく超えている:査定や、類似の売買事例と比べて、あまりに高い
- 商標の問題が、判明した:購入後に、使えなくなるおそれがある
- 極端に、急かしてくる:「今日中に決めないと、他に売る」などと、冷静な判断を妨げようとする
- 不自然に、個人情報や、パスワードを求めてくる
所有者であることを確認する方法
売り手が、本当にそのドメインを管理しているかは、次のような方法で、確認できます。
- WHOISに表示されている、連絡先のメールアドレスから、返信してもらう
- 買い手が指定した、ランダムな文字列を、ドメインのTXTレコードに、追加してもらう(DNSを操作できるのは、管理者だけのため、有力な確認になる)
- 購入の際の領収書などの、証拠書類を見せてもらう
TXTレコードの確認は、当サイトのようなドメインチェッカーで、簡単にできます。詳しくは、「DNSレコード」に関する記事を参照してください。
売ってもらえない場合は
他人が正当に所有しているドメインを、強制的に買い取ることは、できません。所有者が、売る意思を持たない場合は、あきらめるしか、ありません。
例外として、次のようなケースでは、紛争処理の手続きを、利用できる場合があります。
- 自分が、その名前の商標権を持っていて、
- 相手が、不正な目的(悪意)で、そのドメインを登録・使用している
この場合は、国際的な紛争処理の仕組み(UDRP)や、「.jp」ドメインなら、JPドメイン名紛争処理方針(JP-DRP)に基づいて、申し立てができます。ただし、商標の権利がなければ、利用できませんし、「悪意」の証明も必要です。専門家に相談しながら、進める必要があります。
買えない場合の代替案
- 別のTLDや、名前の組み合わせで、空いているドメインを探す
- 期限切れを待つ、または、バックオーダーを利用する
- 時間をおいて、再度、所有者に連絡してみる
購入後にやること
ドメインを、自分のアカウントに移したら、次の設定を確認しましょう。
- ネームサーバーと、DNSレコードの設定:AレコードやCNAMEレコード、MXレコード、TXTレコードなどを、必要に応じて設定する(詳しくは、各レコードの解説記事を参照)
- TTLの設定:変更を、速やかに反映させたい場合は、短めに設定する。反映に時間がかかる仕組みは、「ドメインの反映はなぜ時間がかかる?」の記事を参照
- Whoisプライバシー保護の設定:個人情報の公開を防ぐ
- 自動更新の設定:更新忘れによる失効を防ぐ
- SSL証明書と、CAAレコード:HTTPSでサイトを公開する場合の、設定を確認する
- 以前の所有者の設定が残っていないか:古いDNSレコードや、メールの設定などが、そのまま残っていないかを、点検する
よくある質問
買いたいドメインの所有者が、見つからない場合は?
WHOISが非公開でも、転送用メールアドレスや、問い合わせフォームが使える場合があります。それでも連絡がつかない場合は、ドメインブローカーに依頼する方法もあります。
ドメインブローカーは、使うべきですか?
交渉に慣れていない場合や、時間がない場合、所有者の身元を、特定しにくい場合には、有力な選択肢です。ただし、手数料がかかるため、自分で交渉する場合との、費用対効果を比べましょう。
交渉は、メールだけで進められますか?
はい、ほとんどの場合、メールで進められます。合意した内容は、必ず文面(メールなど)で、残しておきましょう。
個人でも、買えますか?
はい、買えます。ただし、金額が大きい場合は、エスクローなどを使い、取引の安全性を確保してください。
買ったあとに、トラブルが起きたらどうなりますか?
エスクローを使っていれば、代金の支払いと、ドメインの移転が、確実に行われる範囲で、保護されます。ただし、購入後の商標トラブルなどは、防げないため、事前の確認が大切です。
まとめ
他人が持っているドメインを、購入する方法について、要点を整理します。
- 「取得できません」と表示されても、所有者が売ってくれれば、購入できる場合がある
- 方法は、マーケット・オークション、直接交渉、ドメインブローカーの3つ
- 準備として、予算、商標、過去の履歴を、確認し、代わりの候補も用意する
- 所有者は、WHOISなどで調べ、意思決定できる人に、連絡する
- 最初に、自分から価格を出さず、売る意思と希望価格を、相手に尋ねる
- 支払いは、エスクローなどの第三者を通し、個人間で直接やり取りしない
- 所有者の確認には、TXTレコードの追加など、DNSを使った方法も有効
- 強制的に、買い取ることはできない。商標権者の紛争処理は、例外的な手段
- 購入後は、DNSやメール、更新の設定を、点検する
時間はかかりますが、手順を踏んで、慎重に進めれば、理想のドメインを、手に入れられる可能性があります。ドメインの登録情報や、DNSの状態、現在の使われ方は、ドメインチェッカーなどのツールで、調べられます。購入を検討する際は、ぜひ活用してください。