目次
Webサイトを見ていると、クリックした先は別のサービスで動いているはずなのに、ブラウザのアドレスバーには元のドメインが表示されたままになっていることがあります。
また、アフィリエイトなどでは、
https://example-affiliate.com/product?id=12345&ref=abc123
のような長いURLを、
https://example.com/go/product
のような短いURLに変えているサイトもあります。
こうした仕組みは英語圏では「URL Masking」「Domain Masking」「Link Masking」「Link Cloaking」などと呼ばれることがあります。
ただし、日本ではこれらをすべて「リンクマスキング」と呼ぶケースはそれほど一般的ではありません。
特に、アドレスバーのURLを変えずに別のWebページを表示する仕組みについては、国内のドメインサービスでは「フレーム転送」や「URLフレーム転送」という名称が広く使われています。NTTドコモビジネス、お名前.com、PSI-Japanなども、この名称を採用しています。
一方、アフィリエイトリンクなどを別のURLで包む仕組みは「リンククローキング」と呼ばれることがあります。
この記事では、こうした 「本来のURLをそのまま見せない技術」 を広い意味でURLマスキングとして、その仕組みや種類、リダイレクトとの違い、SEOへの影響まで詳しく解説します。
URLマスキングとは?

URLマスキングとは、簡単に言えば、実際にコンテンツが存在するURLとは異なるURLをユーザーに見せる仕組みです。
例えば、実際のWebサイトが、
https://service.example.net/users/domeshira/index.html
に存在するとします。
通常のリダイレクトで、
https://mydomain.com/
からこのページへ転送すると、ブラウザのアドレスバーは最終的に、
https://service.example.net/users/domeshira/index.html
へ変わります。
一方、URLマスキングを利用すると、
https://mydomain.com/
というURLをアドレスバーに表示したまま、別のURLに存在するコンテンツを見せることができます。
参考記事のOnlyDomainsでも、Domain Maskingについて「訪問者を別サイトへ送る一方、ブラウザのURL欄には元のドメインを残す仕組み」と説明しています。
ただし、この「URLを隠す」という目的を実現する方法は一つではありません。
ここが少しややこしいところです。
日本では「フレーム転送」と呼ばれることが多い
日本のドメインサービスで最も分かりやすいのが「フレーム転送」です。
お名前.comではURL転送を、
- リダイレクト転送
- フレーム転送
の2種類に分けています。
リダイレクト転送では、転送後にブラウザのアドレスバーが転送先URLへ変化します。
一方、フレーム転送では、転送元のURLがアドレスバーに残ったままになります。
例えば、
https://example.jp/
にアクセスしたとします。
実際に表示したいサイトが、
https://example-blog.example.com/
だった場合でも、フレーム転送ならアドレスバーには、
https://example.jp/
を表示したままにできます。
NTTドコモビジネスも同様に、転送後も登録したドメインを表示できる方式を「フレーム転送」と案内しています。
そのため、日本語でこの仕組みを検索するなら、
「URLマスキング」よりも「フレーム転送」「URLフレーム転送」
の方が目的に合った情報を見つけやすいでしょう。
リダイレクトとURLマスキングは何が違う?
URLマスキングを理解するうえで最も重要なのが、通常のリダイレクトとの違いです。
リダイレクト
例えば、
old-example.com
から、
new-example.com
へ301リダイレクトした場合、
old-example.com
↓
new-example.com
と移動し、ブラウザのアドレスバーも、
new-example.com
へ変わります。
つまり、ユーザーにも「別のURLへ移動した」ことが分かります。
フレーム転送・URLマスキング
一方、
example.com
から実際には、
external-service.com/page/
のコンテンツを読み込んでいたとしても、アドレスバーには、
example.com
を残すことができます。
イメージとしては、
通常のリダイレクト
example.com
↓
external.com
URLも external.com に変わる
に対して、
URLマスキング
example.com
↓
external.com の内容を表示
URL表示:example.com のまま
となります。
PSI-Japanでも、URLリダイレクト転送では転送先URLが表示されるのに対し、URLフレーム転送では転送元URLをブラウザに維持すると説明しています。
URLマスキングにはいくつか種類がある
英語圏で「URL Masking」と呼ばれているものには、実際には複数の仕組みが含まれます。
参考記事では、主にフレーム、プロキシ、サーバーサイド処理などが紹介されています。
それぞれ仕組みはかなり違います。
1. フレーム転送
日本のドメインサービスでも提供されている代表的な方式です。
HTMLのフレームなどを利用して、別URLのページを現在のページ内部に表示します。
ブラウザから見ると、
https://example.com/
へアクセスしていますが、そのページ内部では、
https://external.example.net/
が読み込まれています。
そのため、アドレスバーにはexample.comを残せます。
2. リバースプロキシ型
もう少し高度な方法がリバースプロキシです。
例えば、
example.com
↓
自分のサーバー
↓
external.comからデータを取得
↓
ユーザーへ返す
という処理を行います。
ユーザーから見るとexample.comへアクセスしているだけですが、裏側では別のサーバーからコンテンツを取得しています。
Cloudflare WorkersやNginxなどを使えば、技術的にはこうした構成も可能です。
フレームとは異なり、ページそのものを自分のドメイン経由で配信できるため自由度は高くなりますが、リンク、Cookie、JavaScript、CORS、キャッシュなども考慮する必要があり、実装は大幅に複雑になります。
3. リンククローキング
少し性質が違うのが「リンククローキング」です。
特にアフィリエイトで使われます。
例えば、
https://affiliate.example.com/product?id=123&affiliate=domeshira
というリンクを、
https://example.com/go/product
に変えます。
そしてアクセスされたら、本来のアフィリエイトURLへ転送します。
参考記事でも、長いアフィリエイトURLを自サイトの短いURLとして見せる例が紹介されています。
ただし、この場合はクリックした後に最終URLへリダイレクトすることも多いため、ブラウザ上のURLをずっと隠し続けるフレーム転送とは別物です。
日本語でも、アフィリエイトURLを短いブランドリンクへ置き換えるサービスについて「リンククローキング」という名称が使われています。
URL短縮とも違う
Bitlyなどに代表される「URL短縮」とも混同されやすいところです。
例えば、
https://example.com/category/article/product?id=123456
を、
https://bit.ly/abc123
へ変更するのがURL短縮です。
しかし、クリックすると最終的には元のURLへリダイレクトされます。
つまり、
URL短縮=入口を短くする
のに対して、
URLマスキング=本来のURLを見せない
という違いがあります。
リンククローキングは両方の性質を持っているため、さらに分かりにくくなっています。
なぜURLをマスキングするの?
では、わざわざ本来のURLを隠す理由は何でしょうか。
代表的なのがブランディングです。
例えば無料のWebサービスを利用していて、
https://free-service.example.com/users/company123/
というURLしか利用できなかったとしても、
https://company.jp/
でアクセスできれば、ユーザーにとっては覚えやすくなります。
実際、日本のドメイン転送サービスでも、独自ドメインに対応していないホームページなどを独自ドメインから表示する用途が紹介されています。
またアフィリエイトでは、
example.com/go/kajabi
のようなURLにすることで、
- URLが短くなる
- サイト内でURL形式を統一できる
- リンク先を後から変更できる
- クリック数を計測しやすい
- 長いパラメータを表面上見せなくて済む
といったメリットがあります。
参考記事でも、ブランド管理、アフィリエイトリンクの整理、クリック追跡などがメリットとして挙げられています。
フレーム転送は現在では使いにくいケースも多い
一見便利に思えるフレーム転送ですが、現在のWebでは注意が必要です。
特に大きいのが、転送先サイト側がフレーム内での表示を禁止している場合があることです。
例えばWebサイト側では、
X-Frame-Options: DENY
や、
Content-Security-Policy: frame-ancestors 'none'
などを利用して、外部サイトからiframeなどで読み込まれるのを防止できます。
このような設定が行われているサイトは、単純なフレーム転送では表示できません。
国内のドメインサービスでも「転送先URLがフレーム転送に対応していない場合は利用できない」と注意書きがあります。
昔の無料ホームページ時代には便利だった方式ですが、現在ではWebサイト側のセキュリティ設定が強化されているため、どんなサイトでもマスキングできるわけではありません。
URLマスキングはSEOに悪影響がある?
SEO目的でWebサイトを運営している場合は、さらに慎重に考える必要があります。
例えばフレーム転送の場合、ブラウザ上では、
example.com
と表示されていても、実際のコンテンツは、
external.com
に存在しています。
この構造では、検索エンジンがどのURLのコンテンツとして評価すべきなのか分かりにくくなる場合があります。
さらに、同じコンテンツを複数のURLでアクセスできるようにしてしまえば、正規URLの管理についても考える必要があります。
SEOを目的としたサイト移転であれば、基本的にはフレーム転送でURLを隠すより、
旧URL
↓
301リダイレクト
↓
新URL
のような通常のリダイレクトを検討した方が構造は明確です。
お名前.comでも、サイト移転時のSEO用途として301・302を利用できるリダイレクト転送を提供しています。
「リンククローキング」とGoogleの「クローキング」は同じ意味ではない
ここは非常に重要です。
Google検索には「クローキング」というスパムポリシーがあります。
そのため、
リンククローキングをするとGoogleからペナルティを受けるの?
と心配になるかもしれません。
しかし、用語が同じでも意味は異なります。
Googleが問題としているクローキングとは、
検索エンジンと人間のユーザーに意図的に異なるコンテンツを表示し、検索順位を操作したりユーザーを欺いたりする行為
です。
例えば、
Googlebot
→ 旅行の記事
一般ユーザー
→ 医薬品販売サイト
のような仕組みです。
Googleはこれを明確にスパムとして定義しています。
一方、
example.com/go/service
↓
affiliate.example.com/?ref=123
のように、単に管理しやすいリンクを作って通常のリダイレクトを行うこととは別の話です。
したがって、
「リンクを短くした=Googleのクローキング違反」
というわけではありません。
重要なのは、検索エンジンとユーザーを意図的に欺いているかどうかです。
アフィリエイトリンクならマスキングよりもrel属性も重要
アフィリエイト目的でリンクを管理する場合、URLをマスキングすることだけでSEO対策になるわけではありません。
Googleは、金銭などの対価が関係するリンクについて、検索ランキングを操作する目的でランキングシグナルを渡すことをリンクスパムとして扱っています。
そのためアフィリエイトリンクなら、
rel="sponsored"
など適切な属性を設定することも重要です。
例えば、
<a href="/go/service" rel="sponsored">
サービスを見る
</a>
のような形です。
URLをきれいにすることと、検索エンジンへリンクの性質を伝えることは別々に考えましょう。
URLを隠したいだけなら、本当にマスキングが必要か考えよう
現在では、単にURLをきれいにしたいだけなら、必ずしもフレーム転送を使う必要はありません。
目的によって、
| やりたいこと | 主な方法 |
|---|---|
| サイトを新URLへ移転したい | 301リダイレクト |
| 一時的に別URLへ転送したい | 302 / 307リダイレクト |
| 長いURLを短くしたい | URL短縮 |
| アフィリエイトURLを整理したい | リンククローキング・リダイレクト |
| URL構造を分かりやすくしたい | URLリライト |
| 別サイトを自ドメインとして見せたい | フレーム転送 |
| 別サービスの内容を自ドメイン経由で配信したい | リバースプロキシ |
というように使い分けられます。
特にSEOが重要なWebサイトでは、
「URLを隠すこと」そのものを目的にするのではなく、なぜURLを変えたいのか
を先に考えた方がよいでしょう。
URLマスキングは悪い技術なの?
URLマスキングそのものが悪いわけではありません。
例えば、
- 長すぎるURLを整理する
- ブランドドメインを使う
- アフィリエイトリンクを管理する
- キャンペーンごとのクリックを計測する
など、正当な用途は多数あります。
問題になるのは、本当のリンク先を意図的に分かりにくくして、
- フィッシングサイトへ誘導する
- 関係のないサイトへ転送する
- 検索エンジンとユーザーで異なるページを表示する
といった用途です。
特に短縮URLやマスキングされたURLは、クリック前に最終的な行き先が分かりにくくなるため、利用者側からすると注意すべきリンクでもあります。
まとめ
URLマスキングとは、広い意味では実際のコンテンツが存在するURLとは別のURLをユーザーに見せる仕組みです。
ただし、日本では「リンクマスキング」という一つの名称でまとめるよりも、用途によって呼び方が異なります。
特に、ブラウザのURLを変えずに別のページを表示する方式は、日本のドメインサービスでは、
「フレーム転送」 「URLフレーム転送」
と呼ばれることが一般的です。
一方、アフィリエイトなどで、
長い外部URL
↓
example.com/go/service
のように整理する仕組みは「リンククローキング」と呼ばれることがあります。
また、Googleがスパムポリシーで禁止している「クローキング」は、単なるリンク短縮とは異なり、検索順位の操作などを目的としてユーザーと検索エンジンへ異なるコンテンツを見せる行為を指します。
同じ「URLを隠す」ように見えても、
リダイレクト、フレーム転送、URL短縮、リンククローキング、リバースプロキシ、SEO上のクローキングは、それぞれ別の仕組みです。
URLをマスキングする場合は、見た目だけではなく、SEO、セキュリティ、ユーザーへの透明性まで考えたうえで、目的に合った方法を選ぶことが重要です。