LLCとは?意味・仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説【米国LLCと日本の合同会社の違いも】
プレミアムドメインの基本的な意味、3つの種類、価格の目安、日本での買い方、購入前に確認すべきポイントまでを、初心者の方にもわかりやすく解説
目次
- LLCとは
- LLCの仕組み
- 損益は、メンバーに「パススルー」される
- LLCの主な特徴
- 所有者の柔軟性
- 運営形態を選べる
- 内部ルールを自由に決められる
- LLCのメリット・デメリット
- LLCの種類
- 米国でLLCを設立する流れ
- 設立後に必要なこと
- LLCの税金の考え方(米国)
- 日本の「合同会社」との違い
- 日本や海外に住む人が、米国LLCを持つ場合の注意点
- 米国の税務上の申告義務(Form 5472)
- 実質的所有者情報(BOI)の報告
- 日本での税務上の扱い
- LLCが向いているケース・向かないケース
- 向いているケース
- 向かないケース
- LLCについてよくある誤解
- よくある質問
- LLCとは、日本の合同会社のことですか?
- LLCと株式会社の一番の違いは何ですか?
- LLCは、1人でも設立できますか?
- 米国LLCは、米国に住んでいなくても設立できますか?
- LLCに名前を付けるとき、注意点はありますか?
- まとめ
「LLCを設立する」「LLCで登記する」といった言葉を、ビジネスの場面で見聞きする機会が増えています。ところが、「LLCとは結局何なのか」「株式会社とはどう違うのか」「日本の合同会社と同じなのか」と聞かれると、正確に説明できる方は多くありません。
LLCは、事業を始めるときの、法人の形態(法的な仕組み)の1つです。特に、米国では、フリーランスや小規模事業、副業、ネットビジネスなど、幅広い場面で使われています。一方、日本にも、「LLC」の名前で呼ばれる、合同会社があるため、混同されやすい言葉でもあります。
この記事では、LLCの定義と仕組みを中心に、特徴、メリット・デメリット、種類、設立の流れ、税金の考え方、日本の合同会社との違い、外国に住む人が米国LLCを持つときの注意点まで、順を追って解説します。
LLCとは
LLC(Limited Liability Company)とは、出資者(オーナー)が、会社の債務に対して、原則として、出資した範囲でしか責任を負わない(有限責任)うえに、運営や課税の面で、柔軟な選択ができる、法人の形態です。日本語では、「有限責任会社」と訳されることもあります。
LLCは、もともと米国の各州法にもとづく制度で、次の2つの特徴を、併せ持つ点が、大きな魅力とされています。
- 株式会社のように、個人の財産と事業の財産を、分けられる(有限責任)
- 個人事業やパートナーシップのように、事業の利益を、オーナーの所得として扱える(パススルー課税)
なお、LLCは、“Limited Liability Company” の略です。“Corporation”(株式会社)ではない点が、名前にも表れています。
LLCの仕組み
LLCは、オーナー個人とは別の、独立した法的な主体(法人格を持つ存在)として、扱われます。オーナーは、一般に「メンバー」と呼ばれ、LLCは、次のようなことを、自らの名前で行えます。
- 財産や資産を持つ
- 契約を結ぶ
- 事業上の債務や、訴訟に対して、責任を負う
つまり、事業でトラブルが起きて、債務が発生した場合でも、その責任は、基本的に、LLC自体が負い、メンバー個人の財産(自宅や預貯金など)まで、直ちに及ぶことはありません。
損益は、メンバーに「パススルー」される
米国のLLCでは、税金の扱いが、株式会社とは大きく異なります。標準的な設定では、LLC自体が、法人税を払うのではなく、利益も損失も、そのままメンバーに帰属し、メンバーが、自分の所得として申告する仕組み(パススルー課税)になっています。
株式会社(米国のC法人)の場合は、会社が利益に課税され、さらに、株主への配当にも課税される「二重課税」が、問題になります。LLCは、この二重課税を、避けやすい形態です。
LLCの主な特徴
所有者の柔軟性
LLCのメンバーには、個人だけでなく、法人や、他のLLCも、なれます。人数の制限も、基本的には、ありません。1人で持つ「単独メンバーLLC」も、2人以上で持つ「複数メンバーLLC」も、可能です。
運営形態を選べる
LLCの運営は、大きく2つの方式から、選べます。
| 方式 | 内容 |
|---|---|
| メンバー管理型(member-managed) | オーナー自身が、経営を担う。小規模な事業向き |
| マネージャー管理型(manager-managed) | 選任されたマネージャー(オーナー以外でも可)が、経営を担う。出資だけするオーナーがいる場合などに向く |
内部ルールを自由に決められる
LLCの内部ルール(出資比率、議決権、利益の分配方法、脱退・承継の扱いなど)は、「オペレーティング・アグリーメント(運営契約書)」で、定めます。株式会社のように、取締役会や株主総会を設ける必要が、基本的にないため、手続きが軽いのも特徴です。
LLCのメリット・デメリット
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | 個人の財産を、事業のリスクから分けられる(有限責任) |
| 二重課税を避けやすく、税務上の選択肢が広い | |
| 運営や意思決定の自由度が高く、手続きが軽い | |
| 株式会社に比べ、設立や維持の手間が、少ないことが多い | |
| デメリット | 州ごとにルールが異なり、設立費用や、年次の手続きが必要 |
| 事業の利益に、自営業税(社会保障税など)がかかる場合がある | |
| 州によっては、メンバーの脱退などで、事業の継続に影響が出ることがある | |
| ベンチャーキャピタルからの資金調達などでは、株式会社(C法人)のほうが、好まれる場合がある |
LLCの種類
一口にLLCといっても、目的や、事業の形によって、いくつかの種類があります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 単独メンバーLLC | オーナーが1人。個人事業主が、個人の財産と事業を分けたいときなどに向く |
| 複数メンバーLLC | オーナーが2人以上。運営契約書で、役割や分配を、細かく決める |
| 専門職LLC(PLLC) | 医師、弁護士などの、資格を持つ専門職向け。州の規制に沿った形態 |
| シリーズLLC | 1つのLLCの下で、複数の「シリーズ」に、資産と責任を分けられる。認めている州は限られる |
| L3C(低収益LLC) | 社会的な目的を持つ事業向けの、特別な形態。認めている州は限られる |
| 州外(フォーリン)LLC | 設立した州とは別の州で、事業を行うLLC。事業を行う州で、別途登録が必要になる場合がある |
米国でLLCを設立する流れ
手順や費用は、州によって異なりますが、おおまかな流れは、次のとおりです。
- 設立する州を選ぶ:事業を行う州や、費用、年次の手続き、州法の内容などを、考慮して決める
- 名称を決める:州の規則に沿った、他と重複しない名前にする。名前の中に、「LLC」などの表示が、必要
- 登録代理人(Registered Agent)を決める:法的な書類などを、会社に代わって受け取る窓口。個人でも、専門の業者でも可
- 設立書類を、州に提出する:多くの州で、「Articles of Organization」などと呼ばれる書類を、州の担当機関に提出し、所定の手数料を支払う
- 運営契約書を作成する:法律で必須とは限らないが、特に複数メンバーの場合は、作成が強く勧められる
- EIN(雇用者番号)を取得する:米国の国税庁(IRS)から取得する、税務上の番号
- 必要な許認可を取得する:事業内容や場所に応じて、連邦・州・市のライセンスなどが必要になることがある
設立後に必要なこと
設立して終わりではなく、次のような対応が、継続的に必要です。
- 州への年次報告と、それに伴う手数料や税の支払い
- 財務記録などの整理・保管
- 運営契約書に沿った運営
これらを怠ると、州から、LLCの状態が「良好でない」と扱われ、最悪の場合、解散させられる可能性もあります。
LLCの税金の考え方(米国)
米国のLLCの税務は、メンバーの数や、選択によって、次のように変わります。
| LLCの形 | 標準の課税上の扱い |
|---|---|
| 単独メンバーLLC | 個人事業と同様に扱われる(LLCとは別に課税されない)。米国の税務では、「無視される事業体(disregarded entity)」とも呼ばれる |
| 複数メンバーLLC | パートナーシップ(組合)として扱われ、損益がメンバーに配分される |
| 法人課税を選択したLLC | 所定の届出により、S法人(S Corporation)またはC法人(C Corporation)として課税されるよう、選択できる |
法人課税を選択しても、法的にはLLCのままです。ただし、S法人は、株主の要件などが決められており、米国の非居住者は、S法人を選択できません。また、C法人を選ぶと、二重課税の対象になります。
どの方式が有利かは、利益の規模や、報酬の受け取り方などによって、変わります。判断には、専門的な知識が必要なため、税理士などに、相談しましょう。
日本の「合同会社」との違い
日本にも、英語名を「LLC」とする、合同会社という会社形態があります。2006年の会社法の施行で、米国のLLCを参考に、導入された制度です。名前は似ていますが、法的な根拠や、税金の扱いが、異なります。
| 項目 | 米国のLLC | 日本の合同会社 |
|---|---|---|
| 根拠 | 各州の州法 | 日本の会社法 |
| 有限責任 | あり | あり(出資者全員が有限責任) |
| 課税 | 標準ではパススルー(選択も可能) | 法人として課税される |
| 設立費用(目安) | 州によって異なる | 登録免許税が最低6万円。定款の認証は不要 |
| 内部ルール | 運営契約書で自由に決められる | 定款で自由に決められる |
日本の合同会社は、株式会社に比べて設立費用が安く(株式会社は、登録免許税が最低15万円で、さらに定款の認証が必要)、経営の自由度も高いため、小規模事業やフリーランスの法人化などで、選ばれています。ただし、法人として課税される点は、米国のLLCとの、大きな違いです。
日本や海外に住む人が、米国LLCを持つ場合の注意点
米国のLLCは、多くの州で、米国に住んでいない人でも、設立できます。そのため、日本などの海外に住む人が、オンラインのビジネスなどのために、米国LLCを設立するケースも、よく見られます。ただし、次のような点には、注意が必要です。
米国の税務上の申告義務(Form 5472)
外国人(非居住者)が、単独メンバーLLCを持つ場合、米国の税務上、Form 5472と、簡易的なForm 1120を、毎年提出する義務があります。2017年以降の課税年度から適用されている決まりです。
この義務は、LLCに収入がなくても、事業活動をしていなくても、生じるとされています。たとえば、オーナーが、自分のLLCに資金を入れる(出資する)だけでも、報告が必要な取引にあたる場合があります。提出を怠ったり、内容が不完全だったりすると、1件につき2万5,000ドルの、高額な罰則が課されるおそれがあります。設立後は、この点を、必ず確認しましょう。
実質的所有者情報(BOI)の報告
米国では、企業の実質的な所有者を、政府に報告させる制度(企業透明化法)が、導入されました。ただし、2025年3月の暫定的な最終規則により、米国内で設立されたLLCなどは、報告の対象外とされました。今後、規則が見直される可能性もあるため、最新の情報を確認してください。
日本での税務上の扱い
米国LLCを、日本に住んでいる人が持つ場合、日本の税務上の扱いが、どうなるかは、個別の状況によって、変わり得ます。米国での課税と、日本での課税の、両方を考える必要があるため、日本の税理士など、国際税務に詳しい専門家に、事前に相談することを、強くおすすめします。
LLCが向いているケース・向かないケース
向いているケース
- 個人事業や副業で、収入が増え、責任リスクを分けたくなった
- 複数人で事業を始め、運営ルールを、柔軟に決めたい
- 不動産などの資産を、個人の財産と分けて保有したい
- 会社の形を、なるべくシンプルに保ちたい
向かないケース
- ベンチャーキャピタルからの、大規模な出資を受けたい、または株式の上場を目指している(この場合は、株式会社/C法人のほうが、適していることが多い)
- 事業の規模がまだ小さく、試しに始めたい段階(この場合は、個人事業のままで、十分なこともある)
- 税務や法務の手続きを、引き受ける余裕や、専門家に頼る予算がない
LLCについてよくある誤解
誤解1:LLCは、小さな事業のためだけの形態だ
実際には、個人事業から、大規模な事業まで、さまざまな規模で使われています。
誤解2:LLCは、手続きや決まりごとが、まったくいらない
株式会社より軽いですが、州への年次報告、記録の保管、運営契約書の遵守など、最低限の管理は必要です。
誤解3:LLCなら、あらゆる責任から守られる
事業上の債務からは、守られる場合が多いですが、オーナー自身の不正行為や、個人的な保証、法律違反などについては、責任を負うことがあります。
誤解4:LLCは、投資家を集められない
株式会社に比べて制約はありますが、持分(メンバーシップ・インタレスト)を発行することで、出資を受けることも可能です。
誤解5:LLCの設立は、複雑で高額だ
一般に、株式会社より、簡単で費用も少なく済むことが多いですが、州によって、費用や手続きは大きく違います。
よくある質問
LLCとは、日本の合同会社のことですか?
日本で「LLC」と言った場合、多くは、合同会社を指します。ただし、米国のLLCは、米国の州法にもとづく、別の制度です。名前は似ていますが、課税の扱いなどが、異なります。
LLCと株式会社の一番の違いは何ですか?
米国では、税金の扱いが、大きな違いです。LLCは、標準ではパススルー課税で、株式会社(C法人)は、会社と株主の両方に課税される可能性があります。日本では、合同会社も、株式会社も、法人として課税される点は同じで、設立費用や、内部ルールの自由度が、主な違いになります。
LLCは、1人でも設立できますか?
はい、できます。オーナーが1人の、単独メンバーLLCは、個人事業主が、事業を法人化する方法として、よく使われます。
米国LLCは、米国に住んでいなくても設立できますか?
多くの州で、設立できます。ただし、設立後の税務上の申告義務(Form 5472など)や、日本での税務の扱いに、注意が必要です。専門家への相談を、おすすめします。
LLCに名前を付けるとき、注意点はありますか?
州の規則に沿って、他のLLCと重複しない名前にする必要があります。また、名前の中に、「LLC」などの表示を、含めることが、一般的に求められます。
まとめ
LLCについて、要点を整理します。
- LLCは、有限責任と、柔軟な運営・課税を併せ持つ、法人の形態である
- 米国のLLCは、標準ではパススルー課税で、二重課税を避けやすい
- 単独・複数メンバーのほか、専門職LLCや、シリーズLLCなどの種類がある
- 設立には、州の選択、登録代理人、設立書類の提出、EINの取得などが必要
- 日本の合同会社は、名前は似ているが、法人として課税される点などが異なる
- 外国に住む人が、単独メンバーの米国LLCを持つ場合、Form 5472の提出義務に、特に注意する
- 日本での税務上の扱いも含め、設立前に、専門家へ相談する
LLCは、使い方次第で、事業の安全性や、運営の柔軟性を高められる、有力な選択肢です。一方で、州や国が変われば、ルールも変わるため、自分の状況に合った形を、慎重に選んでください。
※この記事は、一般的な情報の提供を目的としており、個別の法務・税務のアドバイスではありません。設立や申告の際は、弁護士、税理士などの専門家に、ご相談ください。