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IPv4とは?アドレスの仕組み・種類・IPv6との違いをわかりやすく解説

IPv4の基本から、アドレスの構造、クラスやプライベートIPなどの種類、枯渇問題とNAT、IPv6との違い、日本の回線事情(IPoE・MAP-E・DS-Lite)、アドレスの調べ方までを、一本で理解できるようにまとめた

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目次
  1. IPv4とは?
  2. IPv4アドレスの構造と表記方法
  3. IPv4アドレスのクラス(A〜E)
  4. CIDR(クラスレスアドレッシング)とは
  5. IPv4アドレスの種類を整理する
  6. IPv4アドレスの枯渇問題
  7. NAT(ネットワークアドレス変換)の仕組み
  8. IPv4パケットのヘッダー構造
  9. IPv6とは?IPv4との違い
  10. IPv6の普及状況と、IPv4がなくならない理由
  11. IPv4アドレスの調べ方
  12. IPv4を使うときのセキュリティ上の注意
  13. IPv4に関するよくある質問(FAQ)
  14. まとめ

スマートフォンでWebサイトを開く、自宅のパソコンからメールを送る、サーバーにSSHで接続する。こうした通信の裏側では、必ず「IPアドレス」が使われています。そして、いま私たちが目にするIPアドレスの大半は、IPv4(アイピーブイフォー) という規格のものです。

IPv4は1980年代から使われている古い規格ですが、いまも世界中のネットワークで現役です。一方で、「アドレスが枯渇した」「IPv6に移行する」といった話題も多く、「結局IPv4とは何なのか」「IPv6とどう違うのか」と迷う方も少なくありません。

今回は、IPv4の基本から、アドレスの構造、クラスやプライベートIPなどの種類、枯渇問題とNAT、IPv6との違い、日本の回線事情(IPoE・MAP-E・DS-Lite)、アドレスの調べ方までを、一本で理解できるようにまとめました。

なお、ドメインがどのIPアドレスを指しているかは、ドメシラで実際にスキャンして確認できます。記事を読みながら、気になるドメインで試してみてください。

この記事でわかること

  • IPv4の定義と歴史、アドレスの読み方
  • ネットワーク部・ホスト部、サブネットマスク、CIDRの考え方
  • クラスA〜Eの違いと、現在はクラスが使われない理由
  • パブリックIP・プライベートIP・特殊用途アドレスなど、IPv4アドレスの種類
  • IPv4アドレス枯渇の経緯とNATの仕組み
  • IPv6との違い(比較表つき)と、日本の家庭向け回線での使い分け
  • 自分の端末やドメインのIPv4アドレスを調べる方法

IPv4とは?

IPv4

IPv4の定義

IPv4(Internet Protocol version 4) とは、ネットワークに接続された機器にアドレスを割り当て、データ(パケット)を宛先まで届けるための通信ルール(プロトコル)です。日本語では「インターネットプロトコル第4版」と呼ばれます。

IPv4が扱うアドレスは32ビットの数値で、理論上は2の32乗=4,294,967,296個(約43億個) のアドレスを表現できます。

イメージとしては「住所」に近い存在です。手紙が届くには住所が必要なように、パソコン・スマートフォン・サーバー・IoT機器などがデータをやり取りするときも、「送り先」と「送り元」を示す住所(IPアドレス)が必要になります。IPv4は、その住所の書き方と、住所を使って荷物を運ぶ手順を決めた規格です。

IPの役割とTCPとの違い

IPは、OSI参照モデルでいえば第3層(ネットワーク層) で働くプロトコルです。IPの役割は、パケットを「できる範囲で宛先に届ける」ことで、確実に届いたかどうかの確認や、再送はしません。このような方式をベストエフォート型、また事前の接続確立が不要なことからコネクションレス型と呼びます。

届いたことの確認や再送、順番の整理といった「信頼性」の部分は、上位のTCPが担当します。Webサイトの閲覧(HTTP/HTTPS)やメール送受信は、IPの上にTCPが載り、さらにその上にアプリケーションが載る形で動いています。IPが「住所と配送」、TCPが「配達記録と再配達」と考えるとわかりやすいでしょう。

IPv4の歴史

  • 1981年:IPv4の仕様が、RFC 791として公開される
  • 1983年1月1日:ARPANET(インターネットの原型となった研究ネットワーク)が、従来のプロトコルからTCP/IPへ全面移行(通称「フラグデー」)
  • 1993年:アドレスの無駄を減らすCIDR(後述)が導入される
  • 2011年:アドレスの在庫が枯渇(後述)

ちなみに、なぜ「バージョン4」なのかというと、実運用で使われた最初の版が4だったためです。バージョン5は実験的なストリーム用プロトコルに割り当て済みだったため欠番となり、後継規格はバージョン6、つまりIPv6になりました。


IPv4アドレスの構造と表記方法

ドット付き10進表記

IPv4アドレスは32ビットの2進数ですが、人間には読みにくいため、8ビット(1バイト)ずつ4つに区切り、それぞれを10進数で書き表します。これをドット付き10進表記と呼びます。区切られた1つのまとまりはオクテットといいます。

192.168.1.1

8ビットで表せる値は0〜255の256通りなので、各オクテットは0から255までの数字になります。たとえば 192.168.1.256 や 300.1.1.1 は、IPv4アドレスとしては無効です。

2進数に直すと、次のようになります。

10進数2進数(8ビット)
19211000000
16810101000
100000001
100000001

つまり 192.168.1.1 は、11000000.10101000.00000001.00000001 と同じ値です。コンピューターは内部ではこの2進数でアドレスを扱っています。

ネットワーク部とホスト部

IPv4アドレスは、前半のネットワーク部と後半のホスト部に分けて考えます。

  • ネットワーク部:どのネットワーク(グループ)に属しているかを示す。電話番号でいう市外局番にあたる
  • ホスト部:そのネットワークの中で、どの機器かを示す。電話番号の下の番号にあたる

たとえば、自宅のパソコンのIPアドレスが 192.168.1.104、サブネットマスクが 255.255.255.0 だとします。このとき、

  • ネットワークアドレス:192.168.1.0
  • ホスト部:104
  • ブロードキャストアドレス:192.168.1.255
  • 割り当て可能なホストアドレス:192.168.1.1〜192.168.1.254(254個)

となります。ルーターはまずネットワーク部を見て「どのネットワークに届けるか」を判断し、最後のルーターがホスト部を見て「そのネットワークのどの機器か」を決めて届けます。

サブネットマスクとは

ネットワーク部とホスト部の境目を示すのがサブネットマスクです。2進数で「1」の部分がネットワーク部、「0」の部分がホスト部を表します。

255.255.255.0 を2進数にすると 11111111.11111111.11111111.00000000 で、先頭から24ビットがネットワーク部、残り8ビットがホスト部という意味になります。ネットワークを細かく分割して使うことをサブネット化(サブネッティング) といい、ネットワーク内の通信量を抑えたり、セキュリティ上の区切りを作ったりするのに役立ちます。


IPv4アドレスのクラス(A〜E)

IPv4

IPv4が普及し始めた初期には、アドレスを5つのクラスに分けて管理していました。アドレスの先頭ビットによってクラスが決まり、ネットワーク部の長さも固定でした。これをクラスフルアドレッシングと呼びます。

クラス先頭ビットアドレス範囲標準のマスクネットワーク数1ネットワークあたりのホスト数主な用途
A00.0.0.0〜127.255.255.255/8(255.0.0.0)12616,777,214大規模ネットワーク
B10128.0.0.0〜191.255.255.255/16(255.255.0.0)16,38465,534中〜大規模ネットワーク
C110192.0.0.0〜223.255.255.255/24(255.255.255.0)2,097,152254小規模ネットワーク
D1110224.0.0.0〜239.255.255.255なし--マルチキャスト
E1111240.0.0.0〜255.255.255.255なし--将来の拡張・実験用

表のポイントを補足します。

  • クラスAのネットワーク数が「126」なのは、先頭が0の 0.0.0.0/8 と、ループバック用の 127.0.0.0/8 が特別な用途に予約されているためです。資料によって「127」と書かれていることもありますが、実際に使えるのは1〜126です
  • ホスト数は「2のホスト部ビット数乗 − 2」 で計算します。ネットワークアドレス(ホスト部がすべて0)とブロードキャストアドレス(ホスト部がすべて1)の2つは、機器に割り当てられないためです
  • クラスDとEは、通常の機器に割り当てるアドレスではないため、ネットワーク部・ホスト部の区分はありません

クラスが使われなくなった理由

クラスフルの方式には、大きな弱点がありました。クラスCは254台しか収容できず、クラスBは6万台以上も収容できるため、「300台のネットワークを作りたい」場合には、クラスBを丸ごと割り当てるしかなく、6万台近くのアドレスが無駄になってしまいます。インターネットが急拡大するなかで、この無駄が深刻になりました。

そこで1993年に導入されたのが、次に説明するCIDRです。現在の実際のネットワーク設計では、クラスという考え方はほとんど使われません。ただし、「クラスCといえば /24」「クラスAのプライベートアドレス」など、用語としては今も残っているため、IT系の試験や技術書では引き続き登場します。


CIDR(クラスレスアドレッシング)とは

CIDR(Classless Inter-Domain Routing、サイダー) は、クラスの境界にとらわれず、ネットワーク部の長さを自由に決められる方式です。アドレスの後ろに / とビット数を付けて表記します。この数字をプレフィックス長といいます。

192.168.1.10/25

この例では、先頭25ビットがネットワーク部になります。クラスCの標準である24ビットより1ビット長いため、ネットワークはさらに半分に分割され、192.168.1.0〜192.168.1.127 の128個がひとつのネットワークになります。

プレフィックス長ごとの目安は、次のとおりです。

表記サブネットマスクアドレス総数ホストに割り当て可能な数
/8255.0.0.016,777,21616,777,214
/16255.255.0.065,53665,534
/24255.255.255.0256254
/25255.255.255.128128126
/26255.255.255.1926462
/27255.255.255.2243230
/28255.255.255.2401614
/29255.255.255.24886
/30255.255.255.25242

プレフィックス長の数字が大きいほどネットワーク部が長くなり、ホストに使えるアドレスは少なくなります。なお、/32 は1つのアドレスだけを指す表記で、ファイアウォールの許可設定などで「このIPアドレス1つだけ」と指定するときによく使われます。

CIDRによって、必要な規模に合わせてアドレスを無駄なく割り当てられるようになり、アドレスの消費ペースと、インターネット上の経路情報(ルーティングテーブル)の肥大化を抑えられました。IPv4の寿命を延ばした大きな要因のひとつです。CIDRは、現在のIPv4・IPv6のどちらでも標準的に使われています。


IPv4アドレスの種類を整理する

「IPv4にはどんな種類があるのか」という疑問には、分類の切り口によって答えが変わります。ここでは代表的な4つの切り口で整理します。

切り口種類ひとことで
管理の方式クラスフル/クラスレス(CIDR)アドレスの区切り方の違い
利用範囲パブリック(グローバル)/プライベート/特殊用途インターネットで使えるか、内部専用か
通信の方式ユニキャスト/ブロードキャスト/マルチキャスト1対1か、1対全員か、1対グループか
割り当ての方法固定(静的)/動的(DHCP)変わらないか、都度変わるか

「管理の方式」は前の章で説明したとおりです。以降は、残りの3つを順に見ていきます。

パブリックIPアドレスとプライベートIPアドレス

パブリックIPアドレス(グローバルIPアドレス) は、インターネット上で世界中で重複しない、固有のアドレスです。プロバイダー(ISP)やクラウド事業者、企業などに割り当てられ、インターネット上の通信の宛先・送信元として使われます。

一方、プライベートIPアドレスは、家庭や会社などの内部ネットワークだけで自由に使えるアドレスで、次の3つの範囲が定められています(RFC 1918)。

範囲表記アドレス数備考
10.0.0.0〜10.255.255.25510.0.0.0/816,777,216大規模な社内ネットワーク、クラウドのVPCなど
172.16.0.0〜172.31.255.255172.16.0.0/121,048,576中規模ネットワーク、Dockerの既定値など
192.168.0.0〜192.168.255.255192.168.0.0/1665,536家庭用ルーターで最もよく見かける範囲

プライベートIPアドレスは、別々のネットワークで同じアドレスが使われてもかまいません。お互いのネットワークはインターネットでは直接つながらないためです。実際、あなたの家の 192.168.1.10 と、他人の家の 192.168.1.10 は、まったくの別物です。ただし、そのままではインターネットと通信できないため、後述のNATでパブリックIPアドレスに変換する必要があります。

特殊用途のIPv4アドレス

上記以外にも、特別な目的のために予約されている範囲があります。サーバー運用やネットワーク調査で目にする機会が多いものを整理します。

アドレス名称用途
0.0.0.0/8このネットワーク上のこのホスト0.0.0.0 は「未指定」の意味で、デフォルトルートの表現などにも使われる
127.0.0.0/8ループバック自分自身との通信。127.0.0.1(localhost)が代表的
169.254.0.0/16リンクローカル(APIPA)DHCPからアドレスをもらえなかった端末が、自動で設定するアドレス
100.64.0.0/10共有アドレス空間(RFC 6598)ISPがCGNAT(後述)で使う。約419万個
192.0.2.0/24、198.51.100.0/24、203.0.113.0/24ドキュメント用(TEST-NET)解説・サンプルコード用。実在の機器には使われない
224.0.0.0/4マルチキャストグループ宛の通信(旧クラスD)
240.0.0.0/4予約済み将来用(旧クラスE)
255.255.255.255リミテッドブロードキャスト同じネットワーク内の全機器宛

たとえば、PCのIPアドレスが突然 169.254.x.x になっていたら、DHCPサーバー(多くはルーター)からアドレスを取得できていない可能性が高く、ネットワーク接続のトラブル調査の手がかりになります。

また、ルーターのWAN側アドレスが 100.64.x.x〜100.127.x.x になっている場合は、ISPのCGNATの内側にいる(二重のNATを通っている)可能性があります。

ユニキャスト・ブロードキャスト・マルチキャスト

通信の宛先の指定方法による分類です。

  • ユニキャスト:1台の送信元から、1台の宛先への通信。Webサイトの閲覧など、ほとんどの通信がこれにあたります
  • ブロードキャスト:同じネットワーク内の「全機器」への一斉送信。たとえば 192.168.1.0/24 のネットワークなら、192.168.1.255 が宛先になります
  • マルチキャスト:あらかじめ参加登録した「特定のグループ」への送信。動画や音声の配信、機器の探索などに使われます

なお、「エニーキャスト」(同じアドレスを複数の場所に置き、最も近いものにつなぐ方式)は、IPv4でも公開DNSサービスなどで運用技術として使われています。

固定IPアドレスと動的IPアドレス

アドレスの割り当て方にも2種類あります。

  • 固定(静的)IPアドレス:管理者が手動で設定し、変わらないアドレス。サーバーやネットワーク機器、プリンターなどに向いています
  • 動的IPアドレス:DHCPによって自動的に割り当てられ、時間が経つと変わる可能性があるアドレス。パソコンやスマートフォンなど、一般的な端末はこちらです

インターネットの契約でも同じ考え方があり、家庭向けの回線では「動的IP」が基本で、固定IPは有料オプションとして提供されることが一般的です。Webサイトをサーバーで公開する場合、ドメインのAレコードでIPアドレスを指定するため、変わらない固定IPが基本になります。


IPv4アドレスの枯渇問題

なぜ足りなくなったのか

IPv4のアドレスは約43億個。1980年代には十分に思えた数ですが、パソコン、スマートフォン、IoT機器と、インターネットにつながる機器が爆発的に増えたことで、足りなくなりました。しかも、初期のクラスフル方式では、前述のとおり大きなブロックが無駄に割り当てられた面もあります。

枯渇の経緯

  • 2011年2月:IANA(インターネット資源の最上位管理組織)が持つ、新しく割り当てられるアドレスの在庫が枯渇
  • 2011年4月15日:アジア太平洋地域を管轄するAPNICの在庫が枯渇。これに伴い、日本のJPNICでも通常の割り振りを終了

アジア太平洋地域は、世界でもっとも早く在庫が枯渇した地域でした。ちなみに、APNICやJPNICでいう「枯渇」とは、在庫がゼロになることではなく、最後の/8ブロック(約1,600万アドレス)1個分になった状態を指します。それ以降は、新規の割り当て条件が厳しくなっています。

「枯渇」と聞いて、「IPv4が使えなくなる」と思われがちですが、そうではありません。新しく割り振れる未使用アドレスが底をついたという意味で、すでに割り当てられたアドレスは、今もそのまま使われています。

延命のための工夫

IPv4が今でも使えているのは、さまざまな延命策があるからです。

  • CIDR:アドレスの無駄を減らす
  • プライベートIPアドレスとNAT:内部では共通のアドレスを使い回し、外部への出口だけパブリックIPを使う
  • CGNAT:ISPの設備で、ひとつのパブリックIPアドレスを多数の利用者で共有する
  • アドレスの移転・売買:すでに割り当て済みの余剰アドレスを、他の組織へ移す。日本でも2011年からJPNICで移転制度が利用できるようになった
  • 回収と再利用:使われていないアドレスをISPが回収する

結果として、IPv4アドレスは「貴重な資産」になりました。クラウドの世界でもその影響は出ており、たとえばAWSは2024年2月から、パブリックIPv4アドレスに対して時間単位の料金を課金するようになっています。


NAT(ネットワークアドレス変換)の仕組み

IPv4の延命策の中で、もっとも身近なのがNAT(Network Address Translation) です。家庭用ルーターには、必ず入っています。

NATとは

NATは、内部ネットワークのプライベートIPアドレスと、インターネット側のパブリックIPアドレスを、ルーターが変換する仕組みです。

たとえば、家の中のスマホ(192.168.1.20)がWebサイトにアクセスすると、

  1. スマホがルーターへパケットを送る
  2. ルーターが、送信元アドレスを自分のパブリックIPアドレスに書き換えて、インターネットへ送り出す
  3. 返事が戻ってきたら、ルーターが記録を見て、元のスマホへ転送する

という流れで通信します。ルーターの内側では、何台の機器が動いていても、外から見えるパブリックIPアドレスは1つだけです。

実際の家庭用ルーターでは、IPアドレスに加えてポート番号も使って、どの端末の通信かを見分けています。この方式をNAPT(IPマスカレード、PAT) と呼び、複数の機器が1つのパブリックIPを共有できる理由になっています。

NATのメリットとデメリット

メリット

  • パブリックIPアドレスを節約できる
  • 内部の機器が、外から直接見えにくくなる(結果として一定の防御効果がある)

デメリット

  • 外部から内部のサーバーへ直接アクセスするには、ポート開放(ポートフォワーディング)などの設定が必要
  • P2P通信やオンラインゲーム、ビデオ通話などで、接続が不安定になることがある
  • ISPのCGNATの内側に入ると、NATが二重になり、さらに外部から接続しにくくなる

ただし、「NATがあるから安全」とは言い切れません。NATはあくまでアドレス変換の仕組みで、ファイアウォールの代わりにはなりません。


IPv4パケットのヘッダー構造

少し専門的になりますが、IPv4でやり取りされるデータ(パケット)の先頭には、IPv4ヘッダーが付きます。ヘッダーには、宛先に届けるために必要な情報が詰まっています。基本のヘッダーは20バイト(160ビット) で、オプションを含めると最大60バイトになります。

フィールドサイズ内容
バージョン4ビットIPのバージョン。IPv4では常に「4」
ヘッダー長(IHL)4ビットヘッダーの長さ(32ビット単位)。最小5=20バイト、最大15=60バイト
サービスタイプ(ToS/DSCP)8ビット通信の優先度・品質制御に使う
全長16ビットヘッダーとデータを合わせた長さ。最大65,535バイト
識別子16ビット分割されたパケットを、元のデータへ組み立て直すための番号
フラグ3ビット分割の禁止(DF)、後続の断片あり(MF)などを示す
フラグメントオフセット13ビット分割された断片が、元のデータのどの位置にあたるか(8バイト単位)
TTL(生存時間)8ビットパケットが通過できるルーター数の上限。ルーターを通るたびに1減る
プロトコル8ビット上位のプロトコル(TCPは6、UDPは17、ICMPは1など)
ヘッダーチェックサム16ビットヘッダーの誤りを検出するための値
送信元IPアドレス32ビット送信元のアドレス
宛先IPアドレス32ビット宛先のアドレス
オプション可変経路の記録など、特殊な用途のための領域

特に覚えておきたいのがTTLです。パケットがネットワーク内を永遠にさまよわないように、ルーターを通るたびに数字が1ずつ減り、0になると破棄されます。ネットワークの経路を調べる traceroute(Windowsでは tracert)コマンドは、このTTLの仕組みを利用しています。


IPv6とは?IPv4との違い

IPv6の概要

IPv6(Internet Protocol version 6) は、IPv4のアドレス枯渇を根本的に解決するために設計された後継規格です。アドレスの長さは128ビットで、理論上のアドレス数は2の128乗、約 3.4×10の38乗(約340澗:かん) 個。IPv4の約43億個と比べると、もはや比較にならないほど膨大です。

IPv6アドレスは、16ビットずつを4桁の16進数で表し、コロン(:)で区切ります。

2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334

長いため、各ブロックの先頭の0を省略したり、連続する0のブロックを :: に置き換えたりして短く書けます(:: は1つのアドレスの中で1回だけ使えます)。

2001:db8:85a3::8a2e:370:7334

IPv4とIPv6の比較表

項目IPv4IPv6
アドレス長32ビット128ビット
アドレス数約43億個(4,294,967,296個)約340澗個(2の128乗)
表記方法10進数をドットで区切る(192.168.1.1)16進数をコロンで区切る(2001:db8::1)
ヘッダー20〜60バイト(可変)40バイト(固定)
ヘッダーチェックサムありなし(ルーターの負荷を軽減)
パケットの分割送信元でもルーターでも可能送信元の機器のみ
アドレスの設定手動またはDHCP自動設定(SLAAC)またはDHCPv6
ブロードキャストありなし(マルチキャストなどで代替)
近隣機器の解決ARPNDP(近隣探索プロトコル)
NATほぼ必須原則として不要
IPsec任意で利用仕様に組み込まれているが、実装は必須ではない
DNSのレコードAレコードAAAAレコード
互換性-IPv4とは直接通信できない

違いのポイント

1. アドレス空間の広さ

最大の違いはアドレスの数です。IPv6では、端末1台ごとにグローバルなアドレスを割り当てることが可能なため、NATに頼る必要がなくなります。

2. 設定の自動化

IPv6では、ルーターからの情報をもとに、端末が自分でアドレスを組み立てるSLAAC(ステートレスアドレス自動設定)が標準で使えます。

3. ヘッダーの簡素化

IPv6のヘッダーは長さが固定で、ヘッダーチェックサムもなく、ルーターでの処理が軽くなる設計です。

4. セキュリティについての誤解

「IPv6はIPsecが標準なので、IPv4より安全」と説明されることがあります。IPv6は設計上IPsecに対応していますが、実際にはIPv4でもIPsecは使えますし、IPv6だから自動的に暗号化されるわけでもありません。通信の暗号化は、HTTPS(TLS)やVPNなど、別の仕組みで行うのが一般的です。

5. 互換性がない

IPv4とIPv6は、直接の互換性がありません。IPv6だけにつながる端末は、IPv4だけのサーバーと、そのままでは通信できません。そのため、両方を同時に使えるデュアルスタックや、変換・トンネリングの技術が使われます。

ドメイン名の世界では、IPv4アドレスはAレコード、IPv6アドレスはAAAAレコードで登録します。両方登録しておけば、接続する側が使えるほうを選んで通信します。ブラウザには、IPv4とIPv6の両方を試して速いほうを使う「Happy Eyeballs」という仕組みもあります。


IPv6の普及状況と、IPv4がなくならない理由

IPv6の普及状況

Googleが公表している統計では、GoogleにIPv6でアクセスするユーザーの割合は、2026年3月28日に初めて50%を超えました(50.10%)。2008年に計測を始めてから約18年かけて、ようやく過半数に届いたことになります。日本もGoogleの計測では概ね50%前後で推移しており、IPv6はすでに「少数派の新技術」ではなく、普通に使われている規格です。

それでも、IPv4はなくなっていません。理由は主に3つあります。

  • 互換性がないため、IPv4にしか対応していないサイトやサービス、社内システム、古い機器が、まだ多く残っている
  • IPv6にしても、IPv4とIPv6を同時に運用する期間が、長く続いている
  • NATやCGNATなどの延命策のおかげで、当面は困らないネットワークが多い

当面は、IPv4とIPv6が共存する時代が続くと考えるのが現実的です。

日本の家庭向け回線:PPPoEとIPoE、そしてIPv4 over IPv6

日本のインターネット回線(フレッツ光などの光回線)には、大きく2つの接続方式があります。

  • PPPoE方式:従来からある方式。ユーザーIDとパスワードで認証し、プロバイダーへ接続します。基本はIPv4での接続で、夜間など利用者が多い時間帯に、網終端装置が混雑して遅くなりやすいことが課題でした
  • IPoE方式:認証なしでIPv6ネットワークに接続する方式。混雑しにくく、速度が出やすいとされています

ところが、IPoEで接続しただけでは、IPv4にしか対応していないWebサイトには、アクセスできません。そこで併用されるのが、IPv6の回線の上でIPv4の通信を通すIPv4 over IPv6という技術です。国内では主に次の2方式が使われています。

方式主なサービス例NATを行う場所ポート開放
MAP-Ev6プラス など自宅のルーター可能(ただし利用できるポート番号に制限がある)
DS-Litetransix などプロバイダー側の設備不可

自宅でサーバーを公開したい、ネットワークカメラや外出先からのリモートアクセスを使いたい、といった外部からIPv4でアクセスしたい用途がある場合は、方式の違いが大きく影響します。契約前に、提供される接続方式と、ポート開放の可否を確認しておくとよいでしょう。


IPv4アドレスの調べ方

自分の端末のIPv4アドレス(プライベートIP)

  • Windows:コマンドプロンプトで ipconfig を実行し、「IPv4アドレス」の項目を見る
  • macOS:「システム設定」→「ネットワーク」から確認。ターミナルでは ipconfig getifaddr en0(Wi-Fiの場合)でも確認できる
  • Linux:ターミナルで ip addr を実行し、inet の行を見る

インターネット上のアドレス(グローバルIP)

「IPアドレス 確認」などと検索すると、アクセスしている回線のグローバルIPアドレスを表示するサービスが多数見つかります。ルーターの管理画面のWAN側の情報と見比べて、WAN側が 192.168.x.x や 100.64.x.x などになっている場合は、さらに外側でNATされている可能性があります。

ドメインに設定されているIPv4アドレス

Webサイトのドメインがどのサーバーを指しているかは、DNSのAレコードを見るとわかります。WindowsでもmacOSでも、コマンドで調べられます。

nslookup example.com
dig example.com A

IPv6の場合は、AAAAレコードを調べます。

dig example.com AAAA

Aレコードが表示されればIPv4に、AAAAレコードが表示されればIPv6に対応している状態です。両方あれば、デュアルスタックで運用されています。

DNSのレコードの例は、次のようになります(ドキュメント用のアドレスを使用しています)。

example.com.  3600  IN  A     192.0.2.1
example.com.  3600  IN  AAAA  2001:db8::1

コマンドに慣れていない方は、ドメシラでドメイン名を入力するだけで、実際にスキャンして確認できます。サーバーの移転やDNSの切り替えのときは、Aレコードの値と、TTL(キャッシュの保持時間)をあわせて確認しておくと安心です。


IPv4を使うときのセキュリティ上の注意

IPv4には、通信を暗号化したり、送信元を認証したりする仕組みが、プロトコル自体には備わっていません。安全な通信のためには、次のような対策を組み合わせます。

  • HTTPS(TLS) でWebサイトとの通信を暗号化する
  • 拠点間やリモート接続には、VPNやIPsecを使う
  • ファイアウォールで、不要なポートを閉じる
  • ルーターのポート開放は、必要最小限にする
  • DNSの設定を監視する。DNSの設定が改ざんされて、サイトのIPアドレスが書き換えられると、利用者が不正なサイトに誘導されるおそれがある

また、IPアドレスだけで、個人の氏名や住所が直接わかるわけではありません。IPアドレスからわかるのは、おおまかな地域や、契約しているプロバイダー程度です。ただし、アクセス元の記録が残る点には注意しましょう。


IPv4に関するよくある質問(FAQ)

Q. IPv4とIPv6は、どちらを使えばよいですか?

一般の利用者は、意識して選ぶ必要はありません。ISPやルーターが、両方に対応していれば、自動的に使い分けられます。サイトを運営する立場なら、IPv4に加えてIPv6(AAAAレコード)にも対応しておくと、IPv6のみで接続する利用者にも届きやすくなります。

Q. IPv4アドレスは、いつなくなりますか?

IPv4が「なくなる」時期は決まっていません。在庫の枯渇は2011年に起きましたが、すでに割り当て済みのアドレスは今も使われており、IPv4とIPv6の共存は、今後もしばらく続く見込みです。

Q. 同じIPv4アドレスを、2台の機器で使うとどうなりますか?

同じネットワーク内で重複すると、通信が不安定になったり、つながらなくなったりします(IPアドレスの競合)。DHCPで自動割り当てにするか、固定IPを使う場合は重複しないよう管理してください。

Q. 192.168.1.1 は誰のアドレスですか?

どこの家庭でも使える、プライベートIPアドレスです。多くの場合は、ルーター自身の管理画面のアドレスとして使われています。インターネット上の特定の人や場所を指すものではありません。

Q. 「/24」とはどういう意味ですか?

先頭の24ビットがネットワーク部であることを示します。サブネットマスクでいえば 255.255.255.0 で、256個のアドレス(ホストに使えるのは254個)を持つネットワークです。

Q. IPv4アドレスは売買されているのですか?

はい。枯渇後は、余っているアドレスを他の組織に移す「移転」が、各地域の管理組織の制度のもとで行われています。IPv4アドレスは、貴重な資産として扱われています。


まとめ

  • IPv4は、32ビット(約43億個)のアドレスで機器を識別し、データを届けるための通信ルール。1981年に仕様が公開され、現在も広く使われている
  • アドレスはネットワーク部とホスト部に分かれ、その境目をサブネットマスク(CIDR) で表す
  • クラスA〜Eは初期の管理方式で、無駄が多かったため、現在はCIDRに置き換わった。ただし用語としては今も使われる
  • アドレスには、パブリック/プライベート/特殊用途、ユニキャスト/ブロードキャスト/マルチキャスト、固定/動的など、さまざまな種類がある
  • 日本では2011年にアドレスの在庫が枯渇したが、NAT・CGNAT・移転などで延命されている
  • IPv6は128ビットで、アドレス数が桁違い。IPv4との互換性はないため、当面は両者が共存する
  • 日本の光回線では、IPoE+IPv4 over IPv6(MAP-E/DS-Lite) が普及しており、ポート開放の可否に違いがある

IPアドレスの仕組みを理解しておくと、DNSの設定やサーバー移転、ネットワークトラブルの切り分けが、ぐっと楽になります。ドメインのAレコードやAAAAレコードの設定を確認するときにも、この記事の内容を役立ててください。

自分のドメインや気になるサイトの設定は、ドメシラで実際にスキャンできます。IPアドレスの理解を、手元のドメインの確認にぜひ活かしてみてください。